2022.12.05再就職管理職
「好き」という気持ちを信じて踏み出せば、気づかなかった可能性が見えてくる
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1998年障害児通園施設 入職保育士として勤務
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1990年老人福祉施設 入職
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1991年ご結婚
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1993年第一子 ご出産
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1997年第二子 ご出産
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1999年おやこ劇場 入会
運営スタッフとして企画に携わる -
2000年託児所 入職
パートタイムの保育士として勤務 -
2003年第三子 ご出産
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2007年コープ自然派 入協パート職員、準職員を経て正規職員へ
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2018年プチパーティ統括を担当
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2020年食育課課長に
専業主婦だからこその経験が今の仕事の糧に
―現在のお仕事以前にはどのようなお仕事を経験されたのですか?
社会人としてのスタートは保育士でした。でも、実は保育士になりたかったというわけではないんです。本当にしたかったのは福祉関係の仕事です。当時は今のような福祉に関する資格がなく、福祉関係の仕事を希望する場合は一旦保育士の資格を取ってから、というのが一般的でした。保育士として経験を積んだ後、老人介護施設で働きました。
だから、今の仕事の前に経験したのは、保育士と介護の仕事ですね。
―ご出産のタイミングで一度退職されますが、そのときのお気持ちを教えてください。
子育てをしながら、勤務しているスタッフもいないわけではありませんでしたが、当時はかなり少数派。さらに夫の実家もわたしの実家も少し遠かったのでいざというときに頼れるところもなく、続けるのは難しいかな、と思っての退職でした。
時代的なものかもしれませんが、「子どもが生まれたら子育てに専念する」という人が多かったので特に疑問もなく、退職しましたね。
―ご出産のあと、数年間専業主婦として過ごされますが、子育て中、今のお仕事に役立った経験などはありますか?
子育て中の経験も今、チームとして仕事を進める際にとても役立っています。中でも「おやこ劇場」に参加し、運営に携わったのは貴重な経験でした。「おやこ劇場」とは親子で舞台鑑賞やほかの親子と一緒にさまざまな活動を行う任意団体のことです。
子ども向けの人形劇やコンサートの鑑賞、キャンプなどを会員で行うのですが、その運営メンバーとして、いわゆる裏方を経験させてもらいました。予算決めやイベント内容、どんな劇団を呼ぶのか、どこの施設を借りるのかなど、すべて自分たちで決めていくんです。大変なことも多かったですが、楽しかったですね。
特に自分たちの企画で喜ぶ子どもたちの様子を見るととてもやりがいを感じました。
また、この活動を通じて、「○○ちゃんのお母さん」ではない、もうひとつの自分の居場所を作れたように思います。自分の世界が少し広がったような気がして、とてもうれしかったのをよく覚えています。
「好き」という気持ちで飛び込んだ初挑戦の仕事
―その後、現在の勤務先でパート職員としてお仕事を始められますが、そのきっかけを教えてください。
今勤めている「コープ自然派」は、「協同組合」のひとつ。出資金を出して組合員になり、利用や運営をする組織で、オーガニックや無添加の食品の配送サービスなどを行っています。
働き始めたきっかけは、まだ組合員でない方に商品を試食していただき、もっと「コープ自然派」のことを知っていただく「プチパーティ」というイベントに、参加したことです。
友だちに誘われて参加したのですが、試食はおいしいし、なによりとても楽しくて!すぐにわたしも組合員になりました。組合員になるとホストになってプチパーティを開催することができるんですね。たくさんの友だちに「コープ自然派」のことを伝えたいと思い、何度もプチパーティを開催しました。その様子を見た職員さんが「そんなに好きなら働いてみる?」と声を掛けてくださったのがきっかけです。
―今までの福祉関連のお仕事とはジャンルが違いますね。不安はありませんでしたか?
おいしいものが好きだったので、あまり深く考えず、「じゃあ、やってみます」と答えました(笑)。いろいろ考える不安よりもプチパーティの楽しさの方が強かったんです。シンプルに「好き」という気持ちに素直に従って飛び込んだ感じですね。
ただ、入協してから、パソコンには少し悩まされました。今までの仕事では全く触れることがなかったので。他の職員に手取り足取り教わりながら、少しずつ覚えていきました。今も絶賛勉強中で、スマホでやり方を検索したり、若い職員にいろいろ教えてもらったりしています(笑)。
―今までに経験されたお仕事と今のお仕事、共通点を感じることはありますか?
一見、共通点はないように見えますが、わたしにとってはどちらも生活に密着していること。子育て、お年寄り、食べること、すべて生活から切り離すことができないこと、というのが共通点ですね。
あと、人と人とのコミュニーションから仕事が広がっていくという点も、かな。
やはり、関連性がないように見えて自分の中ではつながっているのかも、と思いますね。
―その後、準職員を経て正規職員になられますが、そのきっかけを教えてください。
ひとつは子どもがだいぶ大きくなって、働く時間を取れるようになってきたことですね。当時はパートスタッフとして週5日間、働いていたのですが、「それだけの時間働けるなら」と職員の方から声をかけてもらいました。間に準職員を挟むのは一番下の子がまだ、小学生だったからです。中学生になって、より時間の融通が利くようになったタイミングで正規職員になりました。
また、働く年数が経つにつれ、後輩もでき、頼られることも増えました。そんな中で、担当した仕事をしっかり最後まで責任持って見届けたいという気持ちが強くなったのも理由のひとつです。パートの限られた時間ではやはり自分の仕事を最後まで見届けるのが難しかったので。
仕事をすることで見えてきた新しい自分
―正規職員になるとご自宅で過ごす時間が減ると思うのですが、ご家族のサポートなどはあったんですか?
自宅で過ごす時間は大幅に減りました。正規職員になるころには子どもたちもだいぶ大きくなっていたので、「夕食に間に合わない〜!」なんてときは電話して、コープ自然派のミールキットで夕食を作ってもらったり、といろいろ助けてもらいました。
今は、子どもたちもみんな家を出たので、夫と二人きりの生活です。家事なんて全くできなかった夫も少しずつ手伝ってくれるようなりました。
―正規職員になったことで配偶者の方との関係に変化はありましたか?
専業主婦時代は子どもがぐずって家が片付けられなかったら、夫に対して申し訳ないと思っていました。でも、その気持ちが良い意味で、なくなりましたね。私のなかで夫との関係が対等になったのかもしれません。片付けられなくても「忙しかったから仕方ない。次の休みに片付けよう」と思えるようになりました。
あと、一社会人として同じ立場で話ができるようになったと感じます。世の中の動きや、仕事について。専業主婦の時には見えてなかったものが、働くことによって見えるようになっていきたのかもしれません。特に意識はしてないんですけどね。
―パート職員として入協されて、準職員、正規職員とステップアップし、現在は管理職として食育課課長をされていらっしゃいます。やはり、立場によって仕事に対する取り組みも変化しましたか?
管理職としてのメインの仕事はスタッフのマネジメントだと思っています。パート職員のときは自分がプレーヤーとして比較的自由に動けていたのですが、マネジメントとなると日々勉強で、なかなか手強いですね(苦笑)。
スタッフの気持ちを盛り上げて、心地よく仕事をしてもらうにはどうしたらいいのか、気持ち良く仕事と向き合ってもらうためにはどうしたらいいのかを常に考えています。
―今のお仕事を通じて感じるやりがいを教えてください。
店頭で直接お客様とやり取りすることもあるのですが、やはり、自分のおすすめした商品を気に入ってもらえると素直にうれしいですね。また、「コープ自然派」の理念に共鳴して組合員になってくださる方が増えるのも仕事で得られる喜びのひとつ。日々のやりがいです。
また、商品を通じて、農家さんを支えていることも大きなやりがいですね。幸いなことに研修などで、生産者さんと直接顔を合わす機会があるので、そのたびに自分たちの活動が日本の農業を支えていると実感でき、誇らしい気持ちになります。
―再就職を目指す方にメッセージをお願いします。
まずは「好き」という気持ちを大切にしてください。商品でもサービスでも何でもいいので「好き」なものを見つけて、思い切って足を踏み入れれば、自分では気づかなかったものが見えてくるかもしれません。
その「好き」はきっと、困難に出くわしたときに乗り越える原動力にもなってくれるはずです。
あとは、自分の可能性を勝手に狭めないこと。先入観を取り払ってみると、想像もしていなかった新しい自分の可能性に気付くかもしれませんよ。